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人形みたいな女の子
私、惣流・アスカ・ラングレーっていいます。
髪は栗色で青い目。白い肌。
日本人ではないけど、1/4日本の血は入ってます。
実は私、すごく悩んでることがあるんです。
それは…すごく、虚弱体質なんです…
「がっこうって…とおい…」
家から学校までおよそ30分…しかしたしかに
今死にかけの女の子がいます。近所でも有名な
虚弱体質にしていつも顔面蒼白、
その名も惣流・アスカ・ラングレーです。
「ちいさくて…やせっぽち…でも…わたしだって〜…」
ぱたり…
「だめ…またちこくしちゃう…こんなんじゃ…
すてきなラブロマンスどころじゃないわ…」
彼女はとても体の弱い子。
でもいつも読んでいる少女漫画のような恋がしたいと願っています。
しかしそうする体力もなく、無理だと思われていました…
ですが出会いはいつどこであるのか分からないものです。
「うわぁ〜〜〜時間が無い〜〜〜」
「…ほぇ…?」
ばびゅん!…ぱたり。
「…あれ?」
あまりにも早く走った男の子のせいで、
アスカは約1秒ほど羽のように飛んでしまった。
「…君、こんなところでなにやってるの?
早くしないと遅刻だよ?」
「え…は…はい…わかってるんですけど…
つかれて…た、たてな…」
「うわぁ!あと1分切ったよ!!」
「お、おねが…い…うるさくしないで…」
「あ、ごめん…しょうがない。連れてってあげるよ」
「え…?」
そう言うとその男の子はがっしりとアスカをつかむと
すごい速さで学校に向かって走り始めた。
「君、本当軽いね〜」
走りながらアスカを担いでる男の子の声が聞こえた。
ちなみにアスカの体重は10kg以下と噂されていた。
なぜなのか?…台風で簡単に吹き飛ぶらしい…噂でしかないのだが…
「やったね、ぎりぎりセーフ!」
校門を占める風紀委員をよそに、男の子は
いまだアスカを腕に抱えながら走っていた。
「…朝っぱらから元気いいね、シンジ君」
「あ、ミサトさん。どうも、おはようございます」
シンジと呼ばれた男の子は保健室の先生…ミサト先生に呼び止められた。
「こら、ここでは私は仮にも教師だぞ」
「あ、すいません、ミサト先生」
「よろしい。あ、その子…保健室常連の貧弱少女よ」
ミサトは少年…シンジの右手に抱えられてるアスカを指差した。
「道に座って…いや、行き倒れてるのをつれてきたんです」
「ん、ありがと。おかげでこの子も遅刻しないで済んだみたいね」
ミサト先生はシンジからアスカを受け取ると手を振ってシンジを見送った。
そして、ぷら〜んとミサト先生に抱えられたアスカはずっとシンジを見ていた。
(すてきな…おとこのこ…みつけた〜…)
「…ねぇ、惣流さん。3日も風邪で休んだかと思ったら…
今朝は行き倒れ?そろそろ出席日数やばいわよ」
「かつらぎせんせい…さっきの…おとこのこ…だれ…?」
「ん〜?あの子?貴方が休んでいる間に
転校してきた私の従兄弟。名前は碇シンジ君よ」
いかり…いかり…いかり…
しんじくん…しんじくん…しんじくん…
「それで…?」
エコーで名前がかかり、惣流アスカはすっかり
シンジ君の名前を覚えてしまったらしい…
「え…結構元気な子よ。家事一般も上手だし…ん?
さては惣流さん。あの子が気に入った?」
「え…やだ…せんせい…そんなんじゃ…」
アスカは恥ずかしがってベッドの下に隠れる。
「…それで…かれの…くらすは…?」
(…本当正直な子だわ)
内心少し笑いを堪えて、ミサト先生はウインクを返した。
「よかったじゃない。あの子たしか貴方と同じクラスよ」
「…わたし…じゅぎょう…でます…」
(うわ…恋する乙女のパワーってやつ?)
「頑張りなさい。先生応援してるからね」
ミサト先生の応援を受け、今貧弱少女は
まさに冒険に旅立とうとしていた。
…この胸の高まり…これが恋…?
しかも同じクラスなんて…まさに運命を感じるわ…
「きょ…きょうしつって…とおい…」
しかし、勇ましく教室目指す貧弱少女は
教室に辿り着く前に燃えつきかけていた…
しかも今の時間は一時間目と二時間目の間の休み時間。
歩く速さがカタツムリ並かもしれない…
「あれ…あそこにいるの…いかりくん…?」
たしかに前方に碇シンジがいる。
そしてその前にはなにやらジャージを着込んだ
少しいかつい感じの男の子がいた。
「おう、転校生の碇か。この間はぶつかったまま
挨拶もなしに教室に行ってもうたのう…」
「えっと…」
「…ワシは鈴原トウジ。覚えとけ」
「え…あ、そうだった?ごめん、ちょっと急いでて…」
「はぁ?何澄ました顔しとるんじゃ…しゃあない。一発気合入れたろやないかっ!」
今まさに、鈴原トウジは碇シンジに殴りかかろうとした。
人を呼ばなきゃ…そう思ったアスカは声を出す。
「だ、だれか〜…たすけて〜…」
しかし、その小さな声は一切他人には聞こえない。
と、いつまでもパンチの音が聞こえないと思ったアスカは
そろりとシンジを見やった。すると…
「…ワハハハハ、ワシのパンチを避けるなんてな。
気に入った、気に入ったで転校生!」
バシバシとシンジの背中を叩いて、トウジは大きく高笑いをしていた…
そして、なにがなんだか分からないが二人とも笑顔で握手していた。
「…びっくり…した〜」
…アスカはそのまま倒れこんでしまった。
「…で、貴方一切シンジ君に気付いてもらえなかったの?
アスカは目が覚めると保健室にいた。
どうやら誰かが運んできてくれたらしい。
「…はい…もう…だいじょうぶです…じゅぎょう…でます」
「え…でも次体育よ?無理でしょう…?」
「…わたし…いかりくんに…あいたいの…」
(根性はあるみたいね…知らなかったわ)
ミサト先生の警告を無視し、アスカは
グランドに向かっていった。
「…せめて…けんがくさせてもらおう…」
今にも息が切れそうなのに、どこからそんなパワーがくるのか…
ともかくアスカはグランドでシンジを見つけると、
ずっと応援しながら(といっても一切人には聞こえないが)手を振っていた。
「…いかりく〜ん」
必死で呼ぶアスカ。それが聞こえたのか…(かなり耳がいいらしい)
シンジはアスカを見ると、『僕?』と自分を指差す。
それに対してアスカも『うんうん』と数回頷く。
シンジは来てほしいと分かったのか、
アスカのところまで走ってきてくれた。
「…僕に、何か用かな?」
「あ、あの…じつは…」
「碇〜!ボールがいったぞ、避けろ〜!」
「「…え?」」
二人一緒に声を出したその時、
シンジの背中にボールがぶつかり、
アスカのほうに倒れこんでしまった。
「い、いたたた…」
「おい、シンジ、大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ、トウジ…あ、君、大丈夫?」
倒れこんでしまったため今アスカは下敷きになっている。
呼びかけてみたが…アスカは気絶していた。
「…気を失ってる」
「あ、そいつ惣流やろ?虚弱体質の…
碇、お前のせいだってんなら保健室連れてってやれよ」
「あ…うん。ごめんね」
「気にするなさかいに。それじゃな」
シンジはアスカを担いで、保健室に向かった。
さほど時間は掛からなかった…軽いから。
「あ、シンジ君?…あ、その子」
「あ、はい…その、気を失っちゃって」
「いいのよ、いつものことだし…あ、ベッドに乗せてあげて」
「あ、はい」
言われたままシンジはアスカをベッドに寝かせる。
「あ…薬足りないわ。取ってくるから、
その子見ておいてくれる?」
「はい、分かりました」
(…あの子のためにも一肌脱がなくちゃ…でも覗き見しちゃえ)
どうやら、薬が切れたというのは嘘らしい。
しかもドア越しに目を当てて盗み見ようとしている。
「あ、ミサト先生。さきほど日射病で
倒れた生徒がいるんですよ。ちょっと来てくれませんか?」
「ひゃ!…え?あ、はい…分かりました」
驚いて体を強張らせたミサト先生は
しぶしぶながらグランドに出て行った。
「…ううん」
「あ、気がついた?」
アスカは、ゆっくりと目を開けた。
「え…いかり…くん…?」
「ごめんね、僕のせいで…君、気絶しちゃったんだよ」
「…きにしないでください…いつものことですから…」
そう言うと、アスカは起きてシンジを正視した。
その目から決意のオーラがでている…本人なりに。
「…あの…」
「え…何?」
「…ひとめぼれ…しました………わたしと………つきあって…もらえませんか?」
「…………………………………は?」
シンジのリアクションをよそに、そう言ったきり
アスカは俯いて顔を真っ赤にしていた。
「え………と………その…僕なんかで…いいの?」
「……………はい」
顔を赤くして、それっきり二人は放課後まで傾いたままだった。
「で…いつまでそうしているつもり?」
「…うわぁっ!ミサト先生!」
「……………せんせい…いつから…いたの…?」
二人ともびっくりしてミサト先生を見たが、
先生はため息をついた。
「いつからって…もう2時間くらいはその様子だったわよ?
ほらほら、もう学校は終わり。荷物まとめて帰りなさい」
「「…はい」」
二人とも、顔を真っ赤にして保健室を出て行った。
「…ま、上手く行ったのかな?次の日が楽しみね」
「あ、ミサト先生。おはようございます」
次の日、シンジは元気よくミサト先生に挨拶しています。
その背中には…アスカがいました。
「おはようございます…せんせい…」
「おはよう。朝っぱらから二人とも仲がいいわね。
惣流さんもシンジ君のおかげでどうやら遅刻も欠席も行き倒れもなくなりそうね」
「…せんせい、ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げて、アスカはシンジ君に
教室まで運ばれていくことになりました。
「…本当、まるでシンジ君のお人形さんみたい」
笑えない冗談を呟いたミサト先生はまた仕事を続けるのでした。
fin
デニム「久しぶりの短編をお届けいたしました。皆さんどうでしょうか?
アスカ「…こ、このあたしが虚弱体質?」
デニム「はい、虚弱体質です」
アスカ「…あんたが初めてだと思うわ。こんなの書いたの」
デニム「いやいや。どこか探せばあるでしょう…この世界は広いんだから」(^^;
アスカ「…でも、10kgってのはないでしょうに」(^^;
デニム「14歳で10kgだったら怖いですよ」(^^;
アスカ「たしかにありえないもんね」
デニム「まあ、台風で吹き飛ぶ体重ってのは本当です」(笑)
アスカ「…突風で一瞬だけ浮くなら分かるけどね…でも、最後がしょぼいわよ」(^^;
デニム「…これ以上長くなると嫌なんで無理やり終わらせました」(苦笑)
アスカ「馬鹿…それにしても、そのまま結婚式場まで引っ張ってくれてもいいのに」〜(*^^*)
デニム「…また壊れ始めた」(^^;
デニム・パウエルへの感想、意見などはこちらへ
namiko-w@axel.ocn.ne.jp
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