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平和な日常
いつもの土曜日の午後、昼食を食べ終えたシンジはリビングで横になっていた。
床の上では寝づらいのかごろごろと床の上を転がるように体の向きを変えている。
しばらくして後から入ってきたアスカが不思議そうに訊ねた。
「シンジ、何やってるの?」
「見ての通り、ごろごろしてるだけだよ…けど寝れないんだ」
「…床が固いから落ち着かないんじゃない?」
「ベッドで寝れたら苦労しないよ」
実は昨夜、平和になった記念日ということでみんなと宴会をしていたのだが、
アスカとミサトがドタバタした時にシンジのベッドを壊したのである。
もちろんお酒の影響であった。
「あ、あの時は…その…ごめん!」
両手を合わせてアスカは謝った。
「…もういいよ」
そう言ってまたシンジは向こうを向く。しかしまだ寝づらいのか、体の向きを変え続けている。
アスカは床の上で転がり続けるシンジをしばらく見ていたが…
やがて意を決したような顔をすると普段通りの口調を装って話し掛ける。
「ねえ、シンジ〜?膝枕してあげよっかぁ〜?」
「はぁ?ど、どうしたのさ?」
突然のアスカの言葉にシンジは内心動揺しながらも聞き返す。
「どうもしないわよ…シンジが寝づらそうにしてるから…その…膝枕…してあげようか?」
アスカも恥ずかしいのか俯いて頬を紅く染めながらぼそぼそと呟くように喋る。
最後の方はほとんど聞きとれなかった。
「え…で、でも」
「私なら大丈夫よ…さぁ、カモーン」
アスカはぺちぺちと自分のふとももを叩きながら手招きをする。
照れ隠しの顔も開き直ったのか、元のアスカのままになっていた。
「カモーンって…まぁ、アスカがそう言うなら…」
シンジは横になったままの状態でずるずると移動してアスカのふとももに頭を乗せる。
最初はアスカの方に顔を向けていたが、恥ずかしくなったのかすぐに反対の方を向いた。
その後もまだ落ち着かないのか、もぞもぞと顔の向きを変え続ける。
「くすぐったいから…あんまり動かないでよ」
言われたのでシンジは動くのを止めると仰向けになってアスカに話し掛ける。
「アスカ…足、伸ばしてくれないかな?」
「え、何でよ?」
「頭の位置が…その…いつもより高いから寝にくいんだ」
「ふ〜ん…それなら…こんなのはどうかな?」
アスカはシンジの頭を少し持ち上げると角度を90度変えて膝の上に乗せるように置いた。
さっきとはまた違った感触がシンジの頭に伝わってくる。
「………」
急におとなしくなったシンジを見てアスカが問いかける。
「どう、気持ちいい?」
「確かに…気持ちいいけどさ…」
「何?」
「…何でもない」
本当はアスカの顔が目の前にあるから意識しちゃって寝るどころじゃない…
なんて言えるわけがなかった。でも、正直に言うのも恥ずかしいので黙っておこう。
「教えなさいよ〜」
あくまでやさしい口調でアスカは聞いてくる。
「おやすみ…アスカ」
「…もうっ!」
アスカはしばらく拗ねていたが、それでも幸せそうな表情でシンジの寝顔を見つめていた。
しばらくして日が暮れて来た頃、玄関のドアが開いた。
「アスカ、シンちゃん。そろそろ夕御飯…」
ドアを開けた女性…ミサトは座ったまま眠っているアスカと、その膝の上ですやすやと
眠っているシンジを見て微笑する。そして、二人を起こさないようにそっとドアを閉めた。
「まったく…目も当てられないわね」
そう言ってミサトは携帯で誰かに電話をかけた。
「ああ、加持?私…うん…今開いてる?夕飯、いっしょにどう?…外食よ、失礼ね。
…別に理由はないわよ…とにかく、いつもの場所…いいわね?」
ミサトは相手の返事を聞かず、一方的に電話を切った。
「…本当、平和っていいわね〜」
ミサトが見る先には、綺麗な夕日が世界を包んでいた。
fin
デニム「短編二作目。やっと完成しました」
アスカ「それにしても…短いわね。短編初作と比べると…」
デニム「しょうがないです。これからはこういうふうに軽いネタで固めていこうかと」
アスカ「じゃ、しばらく手抜きの短編をポコポコと?」
デニム「手抜きかどうかはわかりませんけど…たぶん」(^^;
アスカ「最近、暇ないのね」
デニム「面目ないです…すいません」(^^;
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namiko-w@axel.ocn.ne.jp
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