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彼の沈黙....!?
SHIN
ある平日
夕暮れ時
葛城家
台所
とんとんとん....ぐつぐつぐつ....
制服姿にエプロンを下げて、慣れた手つきで料理を作っているのは、この家の主夫こと碇シンジ(14)。
もはや、台所は彼の城と化している。
味も絶品の域だ。
だが、決して趣味などではないのは、皆さんご存じの事だろう。
ここで生きていくためには、この能力は欠かせないのだ。
もし、この能力が欠けていたならば、
紅髪の同居人に罵られ、踏み倒されてしまう。
しかも、毎日レトルト....もしくはこの家の家長であるミサトの料理によって地獄へと落とされてしまうだろう。
シンジに選択の余地はなかった。そして見事にその能力を手に入れたのだ。
セカンドインパクトなどという大災害にあっても生き延びる人間の適応能力とは凄いモノである。
この場合、かなり特殊だが....
「たっだいま〜〜!」
同居人である惣流 アスカ=ラングレーが帰ってきた。
「おかえり」
(今日は機嫌が良いんだな・・・・)
などと思いつつ、シンジはエプロンで手を拭き、彼女を出迎える。
もちろん笑顔で....
手が放せなくて出迎えることが出来ない日や、笑顔でなかった日などは、彼女の機嫌は最悪になってしまう。
それをシンジは知っている。
「じゃ〜ん!こーじーこーなーのしゅ〜くり〜むっ!!」
アスカは右手を腰にあて左手で紙の箱を高々と持ち上げながら、勝ち誇ったようにシンジに言い放った。
少し”ドラえもん”の言い方に似てたのは気のせいだろう。
そんなアスカの仕草がかわいくて、シンジはおもわず吹き出した。
「もうすぐ夕飯が出来るから、後で食べようね」
「ダメ〜。3つあるから、一つは今食べるのっ!」
「でも・・・・・」
「心配しなくても大丈夫よ。シンジにも一つあげるから!」
(そういう心配ではないんだけど・・・・・・)
シンジは、そう心の中で思いながら、美味しそうにあじわって食べるアスカを眺めていた。
元来、女性と甘い物を引き離す事など出来ない。
女性に限り、甘い物は別腹....である。
もちろん”別腹”などといっても結局”腹”なのだから食べた分だけ、多くは後々後悔することになるのだが....
アスカは甘い物好きながら、見事なプロポーションを維持している。
もぐもぐもぐ....
しかし、アスカは本当に美味しそうに食べている。
まさに至高の表情....
頭の中には花畑が広がっているかのようだ。
やがて食べ終わると、満足げな表情でテーブルに突っ伏した。
そしてシンジは料理を再開する。
「ねぇ、ご飯まだ〜?」
「もう少しだよ。さっきシュークリーム食べたじゃないか」
「お腹空いた〜〜」
テーブルの上に頭をのせて、視線はシンジの背中を追いかけている。
それに飽きたのか、今度は反対側を向いた。
そこにアスカが見た物は.....
鍋をコンロにかけた。
あとは煮込むだけである。
シンジは、ふうっと一息ついた。
と、その時....
「きゃあぁぁーーっ!」
「アスカ!?どうしたの?」
「ああ〜ん、ひ、ひんひ〜、くひはひはいの〜」(訳:「ああ〜ん、し、しんじ〜、くちがいたいの〜」)
「え?・・・あ、もしかしてアスカ、テーブルの上に置いといた激辛キムチを食べたの!?」
こくこく...
アスカはベロを出したまま、ハアハア言いながら頷いた。
「くひひふほ、ひははひはいほ〜」(訳:「くちびると、舌がいたいの〜」)
アスカが食べた激辛キムチは、シンジが今日行き付けの酒屋さんに貰ったものだ。
シンジはミサトの酒のつまみにと思い、テーブルの上に置いていた。
それをアスカが食べてしまったのだ。
しかも、アスカは直前に甘いシュークリームを食べていたので、その辛さは半端ではない。
「ひんひ〜、ひふ〜〜!」(訳:「しんじ〜、みず〜」)
「はい、アスカ!」
シンジはコップに入れた水を手渡した。
ゴクゴク....
一気に飲み干す。
「まららめ〜!ひんひ〜、もっほあはいほほ〜!」(訳:「まだダメ〜!しんじ〜、もっとあまいもの〜!」)
「ほら、アスカ!」
今度はシンジは冷蔵庫から牛乳を取り出し、アスカに渡した。
何故こんな会話が成立しているのかといえば、ユニゾン特訓の成果だろう。
ゴクゴクゴク...
一気に飲み干す。
「まらいあい〜、おっお〜、ひんひ〜〜!」(訳:「まだいたい〜、もっと〜、しんじ〜」)
「えっ、まだ?・・・・うぅ〜ん、そうだっ、シュークリームがあるじゃないか!」
テーブルの上を見ると、箱に入った二つのシュークリームが、その頭を見せている。
まるで見るもの全てを魅了し尽くさんばかりだ。
アスカはごくりと喉を鳴らした。
「ら、らめ!ほれはひんひほいっほひはへふほ〜!!」(訳:「だ、だめ!それはシンジと一緒に食べるの〜!」)
「だって、他に甘い物なんて無いよ・・・」
アスカはキッチン全体を見回す。
確かに甘そうな食物はない。
しかし、アスカの視線は一点で止まり、キランと輝いた。
「ひふへは・・・・・あはひほほ・・・・」(訳:「みつけた・・・・あまいもの・・・・・」)
そう言うと、アスカはシンジに近づき、その首に両腕をまわした。
そして......
「んんんーーー!」
目を見開いたシンジが見た物は、瞳を閉じたアスカのアップだった。
「んっ、んんんーー!」(訳:「あっ、あすかーー!」)
・・・・・・・・・沈黙。
「ぷはぁーー!」
やっと、アスカが唇を離す。
「う〜ん、唇は治ったけど、まだ舌が痛いわねぇ」
再びアスカの蒼瞳がキランと光る。
その瞳は、まるで獲物を追いつめた獣のようだ。
しかも、アスカの両手はまだシンジの首にまわされたままである。
「な、なにを、アス・・・・んっ・・・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・再び沈黙。
この後二人はどうなったのか...
それはまた別のお話....
え?沈黙したのは誰かって? それはもちろん、作者です!
ふぃん....
〜後書き〜
デニム様のHPには初めて投稿させていただきます、SHINと申します。
このSSは、あまり意味がないこと、面白くないこと、中途半端に終わってること、
デニム様に突然送りつけてしまったことなど、この場お借りて深くお詫び申し上げます。
これからも「lone some hope island」の益々の御発展を願っております。
デニム 「…………」
ケンスケ「沈黙したのはSHINさんだけじゃないようだな」
ヒカリ 「ふ、不潔よ〜っ!!」
デニム 「ひゃっ!!…びっくりするじゃないですか、洞木さん」
ヒカリ 「だ、だって〜」
ケンスケ「…………」(沈黙)
デニム 「あ、ケンスケ君が…洞木さんが大声出すから」
ヒカリ 「え、あ、あたしですかぁ?」
デニム 「他に誰がいるんです。とにかく起こしましょう」(ユサユサ)
ケンスケ「…う〜ん」
デニム 「大丈夫ですか?」
ケンスケ「ああ、耳が痛む…ん?どうしたんだ、洞木?作品眺めて?」
ヒカリ (…あたしもいつかは鈴原と…)(真っ赤)
ケンスケ「…だめだ、妄想モードに入ってて何も見えてないみたいです」
デニム 「どうしましょう?」
ケンスケ「…埒があかないから終わりましょう、デニムさん」
デニム 「え、ええ。で、では…作品を書いてくださったSHINさんに感想を送りましょう。それでは今日はこの辺で」
SHINさんの感想はこちらへお願いします。
gurubu@mvf.biglobe.ne.jp
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