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――イタミ――
虎牙 蒼
シロク、シロク。見たことなど無いほど白く、でもそれはどこか見た覚えがある世界―――
一面の白の中で、やわらかな影がひとつ。
白の中だからこそ見えたのだろう、一般的な風景の中では、おそらくきずきもしなかった。
なぜだか懐かしい匂いと胸を打つ痛みに――僕はその影を、呼ぶ。
呼んで、呼んで、駆け寄って、手を伸ばして――。届いた瞬間に掻き消えた影に、僕はそっぽを向く。
そっぽを向いて、無いことにしようとした、忘れようと――した。
胸を打った痛みの名を――その感情を――、影の名を―――。
イタイ ―― イタクナイ ―― イタイ ―― イタクナイ 、イタクナンテナイヨ ――
胸の痛みに、そっぽを向け続けた。今までだって、そうやって生きてきたんだから。
その痛みに、影の名を呼んでもどうにかなるはずもない。ただ悪戯に、痛みをますだけ――。
ソレデモボクハ――
諦めのつかない心に押されて、その名をもう一度だけ、つぶやく。
カアサン―――
『シンジ!!起きて!!!』
温かい何かが、僕の手を掴んだ―――。
気がつけば、目にうつったのは白い世界ではなくて、代わりにうったのは、誰より大切な人で――
その人の匂いに、暖かな影の、母さんにも似た匂いに――――
深い安堵とわずかなあの痛みに僕は、身を任せた。
『なに泣いてんのよ。』
おちょくるような、それでもやわらかなその声に言われて、僕は自分の頬を涙が伝っていることにきづく。
『なんでもないよ。』
明るくそう言って、僕は涙を拭う。怪訝そうにこちらを伺うあの人に満面の笑みを向けて、
『ありがとう。』
と、言葉にしたら、気味悪がられた。そばにいてくれるだけで、僕には救いなんだ―――
恥ずかしくて、一生言えないだろうから、お礼だけ。
苦しいだけだったはずの痛みも、この人のそばならこそばゆくすら感じる。
その感情も、理由も、今なら呼べる。
夢の中の白い世界に、母さんに、今度は笑って会える―――。そんな気がする。
デニム「虎牙 蒼さんから詩をいただきました。ありがとうございます」
シンジ「僕の一人称ですね」
デニム「メールで文才0と申しておりましたが、いやいやそうでもないような…」
シンジ「ぜひ何度も書いて腕を磨いてほしいですね」
デニム「そうですね。もしかしたら今度はアスカの一人称だったりして…」
シンジ「…ここはいつから詩の投稿HPになったんですか?」
デニム「私に聞かないでください…最近はたしかに詩ばかりですが…」
シンジ「デニムさんだってはまってるじゃないですか…」
デニム「…それでは、すばらしい詩を送ってくださった虎牙 蒼さんに感想を送りましょう」(^^)
シンジ「…無視する?」(^^;
虎牙 蒼さんの感想はこちらへお願いします。
y-michi@f2.dion.ne.jp
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