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雪が降っている・・・
息は白く、凍える様な寒さだ・・・
辺り一面、純白の色で染められている・・・
この物語は、この雪の降る街で
奇跡と言う言葉の元に繰り広げられた
甘く、切ない物語・・・
【奇跡の思いと共に・・・】
第一話、「出会い」
by.イフリート
〜朝〜
『・・・生は死の始まり・・・死は現実のつづき・・・私は誰・・・綾波レイ・・・・
綾波レイと言う魂の入れ物・・・そう、よかったわね・・・』
シンジが熟睡していると、朝一番で耳に入ってきた言葉はこれだった。
どうやら枕元にある目覚まし時計からの様だ。
「・・・・・・おい、何だこの目覚ましは」
シンジは声のした方を振り向くと、訳の解らないことを言っている目覚ましを手に取り、スイッチを切る。
どうやらこの目覚まし時計は、自分の声を録音して、その声を時間になると流れるようにする物らしい。
昨日、レイから借りた代物だ。
「何か朝から縁起でも無い様な事を言ってなかったか。」
そう言うとシンジはもう一度目覚まし時計のスイッチを入れる。
『・・・生は死の始まり・・・死は現実のつづき・・・私は誰・・・綾波レイ・・・・
綾波レイと言う魂の入れ物・・・そう、よかったわね・・・』
「・・・・・・・・・・・・・・」
カチッ
無言のままスイッチを切るシンジ
「朝から何て内容の言葉だ・・・何か死んでも別に大丈夫だと言われてるみたいだ。」
目覚ましの内容に呆れたまま、シンジはベットから降りると着替えを始める。
「うぅぅぅぅ、寒い・・・何という寒さだ。」
パジャマを脱ぎ捨てると、さっさと服に着替える。
「着替え終わったし、下へと行くか。」
シンジは部屋の扉を開け、そのまま階段を下り、リビングへと向かう。
そこにはマイカの姿があった。
「あっ、おはようございます、シンジさん」
「おはようございます、マイカさん」
「ご飯がもうすぐ出来ていますけど、食べますか?」
「ええ、いただきます。・・・そう言えばレイは?」
「まだ寝ていますよ。そうだご飯が出来る前に起こしてきて貰えますか?」
「ええ、構いませんが。」
「それてはお願いします。」
「はい」
シンジはリビングを後にすると、レイの部屋へと向かう。
ドアの前には《レイちゃんのお部屋、夜這い禁止》などという掛布だが吊されていた。
「何だこの掛布だは・・・この状態を見てみると、俺が来る前から書かれていた物みたいだな。
この家に男なんて居ないぞ。今は俺がいるとしても・・・」
そう、この綾波家には、シンジが来るまで男は居なかった。
マイカの旦那も、交通事故で亡くなっている。
「まあ良い、入るか」
シンジがそう思ったとき、それは起こった。
ジリリリリリリリリリリリ!!!!
ピピピピピピピピピ!!!!
ガガガガガガガガ!!!!
ブベベベベベベ!!!!
ドッカァァァァァン!!!!
ギャァァァァァァァ!!!!
殺さないでぇぇぇぇ!!!!
などという音が部屋の中から聞こえてきた。
「うおぉぉぉ!!何だ何だ!!」
シンジは何事かと思いドアを開ける。
そこには大量の目覚まし時計が轟音を鳴らしている。
しかしその中ですやすやと眠るレイが居る。
「おいおい、何だこの目覚ましの量は・・・それに中には悲鳴みたいな音を上げるのもあるし
何より良くこの中で寝てられるなこいつは・・・」
そう言いながらシンジはレイのベットに近づく
「起きろぉぉぉぉぉ!!!」
レイの耳元で怒鳴るが、一向に目を覚ます気配はない。
それもそうだ、何と言ってもシンジの声より、辺りに鳴り響いている
近所迷惑とも言える目覚まし時計の音の方が大きいのだ。
かき消されるシンジの声
怒鳴っても起きないので身体をゆさぶる。
「・・・うぅ、地震だお〜」
揺さぶられて、そんな事を言うレイ
しかし何とか起きる。
「レイ!!起きたか!!」
「・・・何?、何て言ってるの?」
「だぁぁぁぁぁ!!まずはこの近所迷惑な目覚ましを止めろ!!」
「・・・目覚まし?・・・うるさいね」
「だから止めろとゆうとるンじゃぁぁぁ!!」
「・・・わかったわ」
レイは枕元にあるリモコンを手に取ると、一つのスイッチを押す。
その瞬間、先ほどまでの轟音は全て消える。
「はぁはぁはぁ・・・何で俺が朝からこんなに疲れなければならんのだ。」
「・・・何疲れてるのシンジ君」
「お前のせいじゃ!!」
「・・・何故?」
小首を傾げながらシンジを見るレイ
本当に解ってない様だ。
「もういい、マイカさんがご飯の支度をしているから、さっさと着替えて下に来い。」
「・・・わかったわ」
そう言うとレイはシンジが居るのにその場で服を脱ぎだした。
「ちょっと待て!!俺が出て行くまで服脱ぐな!!」
「・・・何故?、昔は一緒にお風呂も入ったのに」
「そりゃあいつの話だ!!」
「・・・幼稚園」
「・・・・・・・・もういい」
シンジは頭をうなだれさせると、そのままレイの部屋を出ていった。
そして下へと降りていく。
台所にはもう朝食が並べられていた。
「シンジさん、レイ起きました?」
「ええ、何とか」
「そうですか・・・それならこれからシンジさんにレイを起こして貰えば良いですね。」
「・・・・勘弁して下さい。」
「あら、ざんねん」
そんな事をしていると、二階から私服に着替えたレイが降りてくる。
「・・・おはようございますぅ〜、お母さん、シンジ君」
「やっと来たか、ねぼすけレイ」
「おはようレイ、早く席について」
「・・・シンジ君、朝はおはようございますよ。」
「ああそうだったな、おはようレイ」
「・・・おはようございますぅ〜」
その後は、みんな席に着き朝食を食べ始める。
メニューは、トースト、目玉焼き、コーンスープ、サラダの四品だ。
レイは、トーストにイチゴジャムをたっぷり塗りつける。
「・・・イチゴジャム美味しい」
それはもう、幸せそうに食べるレイ
シンジは見ているだけで胃がもたれそうになる。
「シンジさんもどうですか、ジャムは」
「すみません、俺どうも甘い物は苦手で・・・」
「そうですか・・・残念です。」
「すみません。」
「・・・お母さんの手作りジャム美味しいのに」
「手作りなんですか?」
「ええ、色々ありますよ。・・・・そうだ」
マイカは何故かニヤリと笑う。
「え!?どうしました?」
「甘くないジャムもありますよ。食べますか?」
「えぇ、甘くないなら」
ガタン!!
先ほどまで幸せそうに食べていたレイがいきなり立ち上がる。
「・・・ご馳走様!!」
そして慌てて部屋へと戻っていってしまった。
そう、まるで何かから逃げる様に・・・
「どうしたんですか?レイの奴」
「さぁ〜どうしたんでしょうね。ささ、このジャムどうぞ」
「はぁ、いただきます。」
シンジは目の前に置かれたオレンジ色のジャムをトーストに塗る。
そしてそれを抵抗無く口に入れた。
「□△○●☆▽◇◆▼★◎!!!!」
その途端、真っ青になり、悲鳴ともとれる言葉を発するシンジ・・・
急いで口の中に残っているトーストをコーンスープで流し込んだ。
「どうですか?お味は」
「ふっ、不思議な味ですね・・・・・・」
「沢山ありますから遠慮なくどうぞ」
「いっ、いえ!!もうお腹一杯で!!ご馳走様!!」
シンジも先ほどのレイ同様、逃げる様に二階にある自分の部屋へと戻っていった。
部屋に着くと、ベットに横になる。
「何だったのだ、さっきのジャムは・・・人の食い物じゃねぇぞ。
レイの奴、それを知ってて逃げやがったな。」
そんな事を思っていると次第に眠くなってきてしまう。
これではいけないと、シンジはベットから体を起こす。
「そう言えばこっちの学校に通う様に、くそ親父が手続きをしたな。
学校の場所が解らない何てシャレにもならないからな・・・レイに街を案内させるか。」
思い立ったら何とやらで、シンジはジャンバーを着ると、すぐにレイの部屋へと向かった。
ドアの前に立つと、ノックをする。
「レイ、居るか?」
「・・・何?」
そう言いながら中からレイがドアを開ける。
「今暇か?」
「・・・うん、暇」
「街を案内してくれ」
「・・・わかったわ」
そう言うとレイは一端部屋の中へ戻り、コートを着ると部屋から出た。
「・・・行きましょう」
「おう」
二人はそのまま一階へと降りると、玄関へと向かった。
靴を履いていると、マイカが姿を現した。
「シンジさん、レイ、お出かけですか。」
「ええ、ちょっとレイに街を案内して貰おうと思いまして・・・」
「そうですか、気を付けて下さいね。」
「では、行って来ます。」
「・・・行って来ます。お母さん」
「はい、行ってらっしゃい。」
会話を終え、靴を掃き終えると、ドアを開けて純白で染まった外へと踏みだした。
「寒い・・・凍え死にそうだ。」
「・・・そう?」
「お前は何ともないのか・・・」
「・・・暑いより良いわ」
「さいですか」
そう言って門をくぐり抜ける。
「・・・・・・帰る」
しかしシンジは門を出た直後そんな事を言い出す。
しかも自分から頼んだ癖に・・・
戻ろうとするシンジ
「・・・まだ50メートルも歩いてないよ」
「そんな事はどうでも良い、とにかく帰る」
「・・・ダメ、行くの」
レイはシンジの手を掴むと、強引に引っ張っていく。
そして観念したのかシンジは仕方なくレイに引っ張られて行った。
〜商店街〜
「・・・まずここが商店街」
「見れば解る」
寒さのためか不機嫌な返答をするシンジ
「・・・何でそんな言い方するの?シンジ君の為に案内して上げているのに」
レイはシンジの顔を見ながら言う。
瞳に涙をためて・・・
「わっ、わりい、俺が悪かった、だから泣かないでくれ・・・」
レイの涙を見て慌て出すシンジ
「・・・解ればいいの」
「ごめん、お前の気持ちも考えないで、冷たい返答なんてしてしまって」
「・・・もう気にしてない」
「そうか・・・なら次へ行くか。」
「・・・うん」
そう言って二人は商店街を抜けていった。
〜学校〜
「ほぅ〜なかなか良い学校だな」
シンジは校舎を見ながら言う。
何となく見た目は、高校の校舎と言うより、大学の校舎に近い。
凄く奇麗だ。
「・・・うん、この学校良いところ、中も奇麗よ。」
「そうか、俺は明日からここに通うんだな。」
「・・・うん、一緒に行こうね」
「おう」
一通り学校の外周だけを回ると、学校を後にした。
二人は会話に夢中になり、どことなく足を向けながら・・・
〜何処か〜
「・・・・・・・なあ」
「・・・何?」
「ここは何処だ。」
「・・・知らない」
どうやら学校を出た後、会話に夢中になりすぎたのか
何処か訳の解らないところに迷い込んでしまったようだ。
裏路地とは言わないが、結構殺風景な場所に出てしまった様だ。
「知らないって・・・お前、ずっとこの街に住んでるんだろ」
「・・・こんな所、来たこと無い」
「マジか」
「・・・マジマジ」
長年この町に住んでいるレイも来たことのない場所の様だ。
途方に暮れる二人。
そんな時、シンシはふとレイの方を見た。
(ほ〜、こうマジマジ見るとレイの奴、結構可愛くなってるな)
自分たちがこの様な状態になっているにも関わらす、シンジは不謹慎なことを考えていた。
しかしシンジの気持ちも分からなく無い。
純白の世界にたたずむ、雪の白さに負けないくらい白い肌を持つ少女。
そしてブラチナブルーの髪・・・その髪の上に乗っている溶けかけの雪
それが太陽の光を浴び、キラキラと輝いている。
その光景はまるで妖精のような雰囲気を醸し出していた。
「・・・どうしたのシンジ君」
レイは自分の事を見ている視線に気づき、その視線の方を見る。
そこには優しい顔をしたシンジが自分の方を見ていた。
何となく照れくさくなり、頬を染める自分が居ることに気づく。
「いや、レイも可愛くなったなと思ってさ」
「・・・なっ、何を言うのよ」
シンジは照れくさそうな状態のレイにまるで気づかずその様なことを言う。
それを聞いたレイは可愛らしく呟くと、嬉しくてついついシンシの胸に飛び込んだ。
ヒョイッ
それをかわすシンジ
レイはシンジに抱き付こうと結構な勢いで飛び付いて行ったので
そこでシンジに避けられればどうなるか・・・
ドガンッ!!
勢い余って、近くの木に顔から突っ込んでしまった。
そのままズルズルと顔を擦りながら下に落ちていくレイ
「レイ・・・・・大丈夫か?」
「・・・痛いの」
自分で避けておきながら、そんな事を聞くシンジ
大丈夫なわけない。
レイは起きあがるとシンジを涙目で睨む。
シンジはあさっての方向を向いてしかとしていた。
そんな時だった。
ドサッ!!
レイがぶつかった木から、沢山の雪が落ちた。
レイのぶつかったショックで落ちたらしい。
「きゃっ!!」
その雪は、近くを通りかかった一人の少女の頭の上に落ちた。
その少女は買い物の帰りだったのか、持っていた買い物袋落とし、中の荷物をちらばしてしまった。
しかしその事を気にせず、ただペタンと、雪の上に座っている。
「おい、大丈夫か?」
シンジは座り込んでいる少女に声をかける。
「・・・・・・・」
しかし返答はない。
ただシンジの顔をジッと見つめていた。
「・・・ご免なさい。私のせいね。」
レイはそう言いながら、落ちている少女の荷物を拾おうと荷物に手をかけた。
「!? 触らないで!!」
少女はレイに対して大声を張り上げた。
レイばビクッ!!っとして、そのまま荷物を放した。
「・・・ご免なさい。」
「いっ、いいえ・・・アタシこそせっかく親切にして貰ったのに、ご免なさい。」
「レイ、駄目じゃないか・・・勝手に人の物に触れちゃあ」
「・・・元はと言えば、シンジ君が避けるから悪いの」
「人のせいにするのは良くないぞ」
「・・・事実よ」
「昔のことはもう忘れた」
「・・・ついさっきの事よ」
そんな痴話喧嘩をしていると、少女がクスクスと笑い出した。
「あなた達って面白い人達ね。」
「・・・そう?」
「ええ、うらやましいわ」
「面白いって言うか・・・ただレイがアホなだけで、俺は真面目人間だ」
「・・・嘘つき、それに私はアホじゃない」
「やっぱり面白いわあなた達」
そう言って少女はにっこりと笑った。
シンジはその微笑んだ少女を見惚れてしまう。
そしてシンジは少女をマジマジと見る。
レイほどでは無いが、白い肌をしており、髪の色は赤みのかかった金髪
そして吸い込まれそうな程奇麗なブルーの瞳
(おいおい、すげぇ〜可愛いじゃぇか)
そんな風に思うシンジ
「なに、アタシの顔に何か着いてる?」
「いっ、いや、別に」
「そう」
そう言って少女は辺りに散らばった荷物を集めて、袋に入れて立ち上がる。
「それじゃあ、アタシはこれで」
挨拶を二人にすると、そのままその場を立ち去っていこうとする。
「あっ!!ちょっと待ってくれ」
シンジはすかさず少女を止めた。
「えっ?」
「せっかく会ったんだからさ、名前教えてくれるか?」
それを聞くと少女は少し考えてから口を開いた。
「アタシは、惣硫アスカよ。あんた達は?」
「俺は碇シンジって言うんだ。高校二年、よろしくな。」
「・・・私、綾波レイ、シンジ君と同じ高校二年生、よろしく」
「へぇ〜アタシより一つ上なんだ」
「君、高一?」
「そうよ」
「ふ〜ん、年上かと思ったよ。」
「・・・私も」
「何か、あんまり嬉しくないわ、まあそれは良いけど。
アタシ少し風邪気味だからそろそろ帰るわ」
そう言ってアスカは歩き出した。
またまたシンジが止める。
「ちょっと待った。」
「今度は何よ」
「悪いが商店街へ行く道を教えてくれ。
実を言うとここが何処だか解らないんだ。」
「何それ・・・まあ良いわ
商店街は・・・・・・」
アスカにシンジ達は商店街までの道を聞いた。
その後、アスカと別れて、シンジ達は無事にうちへと帰った。
シンジはまだ知らない、先ほどのことが、運命の出会いで会ったことを・・・
そしてこれから起こる、辛く、悲しい物語を・・・
《つづく》
あとがき
やっと第一話終了!!
アスカの性格をどうしようかと思います。
本編アスカにするか、kanonの栞にするか・・・
どちらが良いですかねぇ〜
栞の性格は、家の暴走してない時の雪女のミサと似てます・・・いや、同じかな
最後に・・・感想下さい。<(_ _)>
デニム「イフリートさんから続きが届きました」(^^)
アスカ「…平凡な出会い方ね。全然面白くないわ」
デニム「そう言われても(作者に対して失礼ですよ)最初はこんな物じゃありません?」
アスカ「しかも性格本当に変わりそうね。どう思います?」
デニム「い、いえ。kanonって私知らなくて」(^^;
アスカ「…ま、いいわ。続きはいつできるの?」
デニム「それはイフリートさん次第ですよ」
アスカ「それもそうね…速く読みたいから、今読んでるそこのアンタ!!感想送りなさい」
デニム「指差して言わなくても…」(^^;
イフリートさんの感想はこちらへお願いします。
kentarou-w@thn.ne.jp
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