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「思いよ、届け」 byアフロ
「はあぁぁぁぁ・・・。」
「どうしたの?アスカ?
ため息なんてついて?」
憂鬱なアタシをいつもこうして気に掛けてくれるのは、
2−Aのクラス委員長の洞木ヒカリ。
もちろん、アタシのクラスメイトで大親友。
「・・・ん?
ちょっとね・・・。」
「また、碇センパイのこと考えてたでしょ?」
うっ・・・・!
ヒカリはアタシの核心をついてきた。
鈴原の前に出ると、なんにも喋れなくなるくせに、
こういうときはズバッとくるのよね・・・。
「・・・そうよ。」
「それで、何のことを気にしてるの?」
「もうすぐさぁ、碇センパイは卒業でしょ?
・・・・その前に告白しようかな、と思ってさ。」
「頑張んなさいよ!
タダでさえ、碇センパイを狙っている人、多いんだから。」
そう、アタシの好きな人・・・・。
3−Cの碇シンジセンパイ。
成績優秀・スポ−ツ万能、優しい中性的な顔立ち。
ううん、碇センパイの本当にいい所って、あの優しい性格なのよね・・・。
あれは、忘れもしない去年の秋・・・。
アタシとヒカリは夜遅くまで、カラオケで熱唱してたの。
その帰り道・・・。
「ヒカリィ〜!また明日ね!」
「うん!バイバイアスカ!」
アタシとヒカリは家が逆方向だから、いつもここで別れるの。
ヒカリの家はここから、歩いて4分のところだから良いけど、
アタシの家は10分もかかるの。
それに、もう冬が近づいてきてるから、寒くて寒くて・・・。
家まで近い裏路地を小走りしながら、家まで急いだんだけど、
「そこの、ネ−ちゃん。
オレたちと一緒に遊ばない?」
アタシに二人組みの男が話し掛けてきたのよ。
「・・・・急いでいるので・・・。」
そう言って、通り過ぎようとしたら・・・。
ガシッ!!
「キャッ!」
イキナリ、腕をつかまれてアタシは驚いたの。
「な、な、いいだろ?
悪いようにはしないからさ・・・。」
「ヘヘヘッ・・・。」
もう一人の男にも捕まえられて、アタシは身動きが出来なくなったわ。
「・・・い、イヤ・・・!」
アタシは怖くて怖くて、それしか話せなかった。
「そんなに怖がらなくてもいいからさぁ・・・。」
ズルリ・・・ズルリ・・・。
アタシはその二人組に引っ張られていったわ。
(お、犯される・・・!)
そう思ったその時!
「・・・ねぇ?
なにやってるの?」
「「ああ?」」
二人の男が同時に声にする方に、顔の向きを変えたら、そこには・・・・。
「い、碇センパイ!」
そう、センパイが立ってたの!
あの時、アタシには白馬に乗った王子様に見えたのよっ!!
「その制服・・・・もしかしてウチの学校の生徒?」
センパイはアタシの制服を見てそういったの。
「た、助けて・・・!
碇センパイ!!」
アタシは必死に今の状況をアピ−ルしたわ。
「おいおい!坊やは怪我しないうちに家に帰んな!!」
「そうだそうだ!」
「・・・怪我するのは君たちの方じゃないのかな?」
「なんだと・・・!」
「・・・・・やっちまうか!」
センパイが挑発したから、二人の男はアタシから手を離して殴りかかっていったわ。
碇センパイは喧嘩が強い・・・とは聞いたこと無かったから、
思わず、アタシは手で顔を覆ったわ。
でも・・・。
「ギャアァァァァァァっ!!」
聞こえていたのはセンパイの声じゃなくて、二人組みの片割れだったの。
アタシは恐る恐る顔を上げると、
男の腕が変な方向に折れ曲がっていたのよ。
もう一人の方は、少女がボディ−ブロ−を決めていて、
モロに食らった男は地面に倒れこんだの。
碇センパイともう一人の少女・・・・。
紅い目に、銀と青を織り交ぜたような髪。
綾波レイ先輩。
容姿端麗で、碇センパイと同じく成績優秀。
一目見ると『天使』みたいなひと・・・・。
これは、後から聞いた話なんだけど、
碇センパイは柔術を、レイ先輩は空手を習ってたんですって。
「・・・キミ!大丈夫だった!?」
碇センパイがアタシに駆け寄ってきたの。
「ありがとうございます・・・碇センパイ。」
「そう・・・怪我がなくてよかったよ。」
ホッとした感じのセンパイ。
ドキッ!
そんなセンパイの顔をみたら、アタシの心臓が飛び跳ねたわ。
(・・アタシもしかして、センパイに一目ぼれ?)
よくアタシの周りの女子が『碇センパイ、碇センパイ』って黄色い声をあげてたの。
確かに顔はいいけど、見た目だけじゃね・・・。
と思っていたわ・・・でも、こんなに優しいセンパイの顔を見てたら・・・・。
「・・・・シンジ、早く逃げたほうが・・・。」
レイ先輩の声でアタシは我に返ったわ。
「あ、そうだね、面倒事になる前に逃げよう。」
タッタッタッタ・・・。
アタシ達三人は、走って表通りまで来たの。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。
ここまで来れば大丈夫だね。」
ニッコリ。
ドキン!
笑ったセンパイの顔を見たら、またアタシの心臓が暴れたの。
(あ、アタシ・・・おかしくなりそう・。)
もう頭の中がぐちゃぐちゃになって、
クラクラと目眩もしてきて、アタシはよろめいたの。
「あ、大丈夫!?」
碇センパイに肩をつかまれて、アタシは地面とキスすることはなかったわ。
「・・・・だいじょうぶです・・・。」
アタシはそれを言うのが精一杯。
「家まで送っていくよ。」
「で、でも・・・。」
「・・・夜の一人歩きは危ない。」
レイ先輩そう言ってくれたけど、アタシ恥ずかしくて・・・。
「・・・ほら。」
フワリ・・・。
アタシはセンパイにおんぶされてたの。
それに気がつくまで、5秒はかかったわ。
「あ・・・・。」
(センパイの背中・・・大きい・・・。)
そのあと、家までおんぶされて帰ったのよ。
家に入ったら、ママにはこっぴどく怒られたの。
・・・でもね、アタシは嬉しくて嬉しくてママの声なんか耳に届いていなかったの。
え?
何が嬉しかったかって?
ウフフ・・・それはね、
「着いたよ。」
アタシが気づいたら、家の前まで来ていたの。
ストッ・・・
(・・・あ。)
そしたら、碇センパイの背中から下ろされた。
名残惜しかったけども、どうすることもできなかったわ。
「そういえば、キミの名前はなんて言うの?」
「・・・えっ・・・?」
「僕のことは・・・知ってるようだね。」
「あ・・・はい。
・・・・・・アタシの名前は、惣流・アスカ・ラングレ−です。」
「惣流さんか。
それよりも・・・ね?」
「はい。」
「・・・こんなに晩くまで遊んでいたらダメだよ?」
「ごめんなさい。」
ペコリと頭を下げた。
「・・・シンジ、帰りましょう。」
碇センパイの横にいた、レイ先輩が催促したの。
「そうだね。
・・・じゃあ僕たちはこれで帰るよ。」
「・・・・さよなら。」
「あ、さようなら。」
そう、碇センパイにアタシの名前を覚えてもらったの!
ヨッシャア!
もう、ガッツポ−ズよ!!
・・・それ以来、アタシも碇センパイを好きになったってワケ。
そして、現在
「ま、アスカが誰を好きになってもいいけどさぁ、
碇先輩は綾波先輩と付き合ってるって噂だしね・・・。」
そうなの、アタシのため息のもう一つの原因がこれ。
あのときも、レイ先輩と一緒に帰っていたし・・・。
アタシ、レイ先輩に勝てないよ。
・・・・・でも、
このまま、碇センパイに思いを告げられないまま終わるなんてイヤッ!
でも、踏ん切りがつかないまま卒業式を迎えたの。
卒業式は滞りなく進んで、全ての予定は終わったの。
そして・・・。
校門前
「ふぅ・・・。」
僕の中学校生活も今日で終わりか・・・。
結局、彼女一人できなかったな。
シンジはトボトボと歩いていた。
もてるはずのシンジに彼女がいないのは何故か?
それは、いつもシンジをレイがガ−ドしていたからだ。
同級生又は下級生がシンジに告白をしようとすると、
なぜか謎の物体に襲われ怪我をしてしまうのだ。
・・・もちろん、謎の物体とはレイだが・・・。
そういうことで、シンジは未だに女性から告白されたことがなく、
『もてない』と思い込んでいるシンジだった。
「どうしたの・・・?シンジ?」
隣を歩いていたレイがシンジの顔を覗き込んだ。
「うん・・・なんでもないよ。」
「そう・・・ならいいわ。」
一重にシンジが悩んでいる原因はレイなのだが・・。
もうすぐ校門を出ようか、という時。
「碇センパイ!!」
僕を呼び止める声がしたので、その方向を向いた。
「ハァ・・・ハァ・・・せ、センパイ・・。」
息を切らしながら僕のところまで駆け寄ってきた少女が居たんだ。
・・・あれ?
たしか、この子・・・。
「惣流さん・・・だよね?」
「はい・・・そうです。」
「どうしたの?そんなに慌てて?」
「あ、あの・・・センパイに話があるんですけど・・・。」
「話?」
「ええ・・・近くにある公園へ一緒に来てくれませんか?」
「・・・え、いい「あなた、シンジに何か用?」」
僕が言おうとしたら、レイが遮った。
「はい、大事な用なんです。」
「・・・・・。」
シンジが居る手前、手を出せないレイ。
「わかったよ、行こう。
・・・レイは先に帰ってて。」
「・・・・・うん。」
渋々頷くレイ。
公園
「それで、話ってなにかな?」
「センパイってレイ先輩と付き合ってるんですか?」
ズルッ!
思わずこけてしまったシンジ。
「あはは・・・レイは僕の従妹なんだ。」
「そうなんですか・・・。」
胸を撫で下ろしたアスカ。
「それだけ?」
「い、いえ!アタシ・・・・。」
ドキドキ・・・。
(緊張するよ〜!)
「アタシ・・・。」
(神様・・・アタシにほんの少しで良いから勇気を下さい。)
「アタシ・・・碇センパイのこと・・・。」
「ずっと・・・。」
「ずっと前から好きでしたっ!!
アタシと付き合ってください!!」
(い、言っちゃった・・・・。)
・・・・・。
・・・・・。
・・・・・。
・・・・・。
「へっ!?」
長い沈黙の末、シンジの第一声がこれ。
「僕のことが好き・・・・?」
「はい!」
(・・・えええ?
僕のことが好きなの?こんなにかわいい子が・・・?
ホントに?)
「あ、あの・・・僕でいいの?」
「碇センパイがいいんですっ!!」
「・・・僕女の子と付き合った事が無いけど・・・
こんな僕で良いなら、喜んで!!」
「ホントに・・・?」
「うん。」
「う・・・ぐすっ・・・嬉しいよぉ〜!」
アタシはついつい泣いてしまった、大好きな先輩の前で・・・。
「あああ、あの、泣かないで・・。」
センパイは、そう言って指でアタシの涙を拭いてくれた。
「ホントに、アタシ、センパイの彼女になったんですよね・・?」
「・・・うん。
あ、あのさ・・・僕たちこれから付き合っていくんだから、
僕のこと『シンジ』でいいよ。」
「アタシも・・・アタシもアスカって呼んで下さい・・・。」
「・・・アスカ・・。」
「・・・しんじ・・・。」
「アスカ・・・。」
「しんじ・・・。」
「アスカっ!」
「しんじぃ〜!」
それから、二人はしばらくの間、抱きしめあっていたそうだ。
彼らの恋はまだまだ波乱が待っているのだが
・・・・それは、また別のおはなし。
fin.
あとがき
最期まで読んでくださった、読者の皆様、本当にありがとうございます。
しかし・・・・・へっぽこだな・・・まだまだ。
デニム・パウエルさんホ−ムペ−ジ開設おめでとうございます!
こんなへっぽこ小説を掲載していただき、まことにありがとうございます。
デニム「アフロさんから投稿をいただきました。ありがとうございます」(^^)
アスカ「今度は私の一人称ね。いいわぁ、これ」
デニム「そうですね。それにしても…波乱が残ってるみたいですね」
アスカ「きっとファーストや他の女子どもね。弐号機で踏み潰そうかしら?」
デニム「………」(^^;
アスカ「何よ、その目は?」
デニム「い、いえ、何も。それにこの世界に弐号機はないですよ」
アスカ「う…まあ、いいわ。続きが楽しみね」
デニム「それでは今日はこの辺で…」
アスカ「またねっ!!」
アフロさんへの感想はこちらへお願いします。
ahuro@infoaomori.ne.jp
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